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ゴルフ肘:上腕骨内側上顆炎

ゴルフ肘(上腕骨内側上顆炎)とは?

ゴルフ肘(上腕骨内側上顆炎)は、肘の内側に位置する上腕骨内側上顆という部位に炎症が生じる状態を指します。この疾患は、ゴルフスイングの動作に関連して発生することが多いため「ゴルフ肘」と呼ばれていますが、実際にはゴルフに限らず、前腕を繰り返し使うさまざまな活動で生じることがあります。

原因

ゴルフ肘は、前腕の筋肉や腱に過剰な負荷がかかり、これらの組織が損傷を受けることで発生します。特に以下の要因がゴルフ肘の原因となります:

  1. 繰り返しの動作: 前腕を使って物を握る、持ち上げる、捻る動作を繰り返すことで、筋肉や腱に負担がかかり炎症を引き起こします。
  2. 不適切なテクニック: ゴルフや野球、テニスなどのスポーツで誤ったフォームを使用することで、肘の内側に過剰な負荷がかかります。
  3. 過度の使用: 同じ動作を長時間にわたり繰り返すことで、筋肉や腱が疲労し、損傷が蓄積されます。

症状

ゴルフ肘の主な症状には以下のようなものがあります

  • 肘の内側の痛み: 上腕骨内側上顆の周辺に痛みを感じ、手首を曲げたり伸ばしたりする際に痛みが増します。
  • 肘の内側の圧痛: 肘の内側を押すと痛みが強く感じられることがあります。
  • 握力の低下: 痛みのために物を握るのが難しくなることがあります。
  • 肘のこわばり: 肘を完全に伸ばしたり曲げたりする際にこわばりや違和感を感じることがあります。
  • 日常動作での痛み: ドアノブを回す、物を持つ、手を振るなど、日常的な動作で痛みが現れることがあります。

診断

ゴルフ肘の診断は、主に患者の症状の確認と肘の診察によって行われます。医師は、手首や前腕を特定の方向に動かすことによって痛みを誘発し、ゴルフ肘を診断します。必要に応じて、X線やMRIなどの画像検査が行われ、他の肘の障害や疾患を除外するための確認が行われます。

治療

ゴルフ肘の治療には、主に保存的な方法が用いられ、次のようなアプローチが取られます

  1. 休息: 痛みが治まるまで、肘を安静に保ち、問題を引き起こした動作を避けます。
  2. アイシング: 肘の痛みと炎症を軽減するために、氷や冷湿布を使用します。1回15〜20分、1日に数回行うと効果的です。
  3. 抗炎症薬: 痛みや炎症を抑えるために、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が使用されることがあります。
  4. 理学療法: 肘や手首の筋肉を強化し、柔軟性を改善するためのエクササイズが行われます。特に前腕の屈筋群のストレッチや筋力トレーニングが重要です。
  5. サポート具の使用: 手首や前腕をサポートするために、サポーターやストラップを使用することが推奨されることがあります。
  6. ステロイド注射: 症状が重い場合や保存療法が効果を示さない場合、ステロイド注射が行われることがあります。

手術

保存療法で症状が改善しない場合や、痛みが長期間持続する場合には、外科的手術が検討されることがあります。手術では、損傷した筋肉や腱を修復し、肘の機能を回復させることが目的となります。

予防

ゴルフ肘を予防するためには、以下の方法が有効です

  • 正しいフォームの習得: ゴルフやその他のスポーツでは、正しいフォームとテクニックを習得することで、肘にかかる負荷を軽減できます。
  • 筋力と柔軟性の向上: 前腕の筋肉を強化し、手首や肘の柔軟性を維持するためのエクササイズを行います。
  • 適切な道具の使用: ゴルフクラブなどの道具が手や肘に過度の負荷をかけないよう、適切なサイズと重量のものを選ぶことが重要です。
  • 休息と回復: 過度に同じ動作を繰り返さないようにし、適度な休息を取ることで、筋肉や腱を回復させます。

まとめ

ゴルフ肘は、日常生活やスポーツ活動に支障をきたすことがある厄介な状態ですが、早期の診断と適切な治療により、多くの人が回復し、通常の活動に戻ることができます。予防策を講じ、症状が現れた場合は早めに対応することで、長期的な健康を維持することが可能です。

リハビリについて

ゴルフ肘(上腕骨内側上顆炎)のリハビリテーションは、痛みの軽減、筋力の回復、柔軟性の向上、そして再発防止を目指した段階的なプロセスです。リハビリを通じて、肘の機能を回復し、再発を防ぐことが可能です。

リハビリテーションの目標

ゴルフ肘のリハビリの主な目標は次の通りです:

  1. 痛みと炎症の軽減: 初期段階で炎症を抑え、痛みを和らげます。
  2. 筋力と柔軟性の回復: 特に前腕の屈筋群を強化し、肘の柔軟性を改善します。
  3. 正常な動作の再獲得: 手首や肘の動きをスムーズにし、日常生活やスポーツ活動での動作を回復します。
  4. 再発予防: 再発を防ぐために、適切なフォームとエクササイズが必要です。
リハビリテーションのステップ
1. 初期段階(痛みが強い時期)

この段階では、痛みと炎症を抑えることが最優先です。

  • 休息と保護: 痛みを引き起こす動作を避け、肘を安静に保ちます。必要に応じて、肘のサポーターやストラップを使用します。
  • アイシング: 炎症を抑えるために、15〜20分間、1日に数回アイシングを行います。
  • 抗炎症薬の使用: 医師の指示に従い、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を使用して痛みを管理します。
2. 中期段階(痛みが軽減し始めた時期)

痛みが和らいできたら、可動域を改善し、筋力を回復させるためのエクササイズを開始します。

  • ストレッチング: 前腕の屈筋群と伸筋群を中心にストレッチを行い、柔軟性を向上させます。特に手首の屈曲・伸展を重点的に行います。
  • 軽負荷の筋力トレーニング: 軽いダンベルやエクササイズバンドを使ったトレーニングで、前腕の筋肉を強化します。例えば、前腕カールやリストフレクションが有効です。
  • 等尺性運動: 筋肉を収縮させつつ動かさない運動を行い、筋力を強化します。肘を固定して手首に軽い力を加える練習が効果的です。
3. 後期段階(正常な動作への復帰)

筋力と柔軟性が回復してきたら、スポーツや日常生活への復帰を目指します。

  • 負荷を増やしたトレーニング: 重いダンベルや強い抵抗バンドを使用し、筋肉の耐久力を向上させます。
  • 動作の再確認: ゴルフスイングや日常動作の中で、肘に無理がかからないように動作を確認します。
  • フォームの修正: ゴルフなどのスポーツで正しいフォームを習得し、肘への負担を減らします。ゴルフプロやトレーナーの指導を受けることが推奨されます。
リハビリにおける注意点
  • 無理をしない: 痛みや違和感がある場合は、すぐに運動を中止し、医師や理学療法士に相談してください。
  • 徐々に負荷を増やす: 筋力や柔軟性が改善しても、急に激しい運動を再開することは避けてください。
  • 日常生活でのケア: リハビリに加え、日常生活でも肘に過度な負担がかからないよう心がけ、適度な休息を取ることが大切です。
まとめ

ゴルフ肘のリハビリは、痛みを和らげ、筋力と柔軟性を回復し、再発を防ぐための重要なプロセスです。段階的にリハビリを進めることで、肘の機能を回復し、スポーツや日常生活に問題なく復帰することが可能です。

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