突き指
突き指は、指に強い外力が加わり、指の関節が過度に曲がったり伸ばされたりすることで起こる外傷です。スポーツや日常生活でよく見られる軽度のけがですが、適切に対処しないと関節の変形や機能障害が残ることがあります。主に指の関節や腱、靭帯が損傷することが多く、重症化すると骨折や脱臼を伴うこともあります。
突き指の原因
- 外力による衝撃:バレーボールやバスケットボールなどでボールをつかもうとしたときに指先に強い衝撃が加わる場合が一般的です。
- 不意の動作:ドアに指を挟んだり、転倒して手をついた際に指に不自然な力がかかることが原因となることもあります。
突き指の症状
- 痛み:指を動かしたり触れたりすると強い痛みを感じます。
- 腫れ:指の関節周囲に腫れが生じることが多く、時間が経つにつれて腫れが広がることもあります。
- 内出血:皮膚の下に内出血が起こり、指が紫色に変わることがあります。
- 可動域制限:痛みや腫れにより、指を十分に曲げたり伸ばしたりすることが難しくなります。
- 変形:重症の場合、関節が不自然に曲がったり、指がまっすぐに伸びないことがあります。
診断
- 問診と視診:どのような状況で負傷したか、どの部分に痛みがあるかを確認します。
- 触診:腫れや痛みの程度、関節の動きを確認し、骨折や脱臼がないかを調べます。
- 画像診断:X線検査で骨折や脱臼の有無を確認します。骨に異常がなくても、靭帯や腱の損傷を見逃さないために必要です。
治療法
保存療法
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RICE療法:基本的な応急処置として以下の方法が推奨されます。
- Rest(安静):指を使わないようにして安静に保ちます。
- Ice(冷却):患部を冷やすことで腫れと痛みを軽減します。20分程度のアイシングを数時間おきに繰り返します。
- Compression(圧迫):軽く圧迫することで腫れを抑えます。テーピングや指用のサポーターを使うと良いでしょう。
- Elevation(挙上):指を心臓より高く上げることで、腫れと内出血を減らします。
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固定
- テーピングやスプリント:指の動きを制限し、安静を保つためにテーピングやスプリントで固定します。固定期間は通常1〜2週間程度ですが、症状によって異なります。
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痛み止めや抗炎症薬
- 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を服用することで、痛みと炎症を和らげることができます。
手術療法
- 骨折や脱臼がある場合
- 骨折や関節の大きなズレがある場合は、手術で整復が必要になることがあります。特に関節の位置がズレている場合や、腱が断裂している場合には手術が推奨されます。
リハビリテーション
- 関節の可動域訓練:腫れが引いたら、指の可動域を回復するために、少しずつ動かす運動を行います。
- 筋力強化:指の筋力を戻し、再発を防ぐためのトレーニングを行います。リハビリは無理のない範囲で進めることが重要です。
予防
- スポーツ時の注意:スポーツを行う際には、指に過度な力がかからないように気をつけましょう。テーピングやグローブを使用することで指を保護することができます。
- 正しいフォームの習得:ボールを扱うスポーツでは、正しいフォームでプレーすることが怪我の予防につながります。
- 環境整備:日常生活で指を使う際に、急な動作を避け、物を扱う際は慎重に行動するよう心がけます。
まとめ
突き指は、適切な応急処置と治療を行うことで、ほとんどの場合は早期に回復します。しかし、重症化した場合や治療が不十分な場合には、指の変形や機能障害が残る可能性があります。指に違和感や痛みを感じた場合は、早めに医師の診察を受け、適切な処置を行うことが重要です。また、突き指を予防するためには、日常やスポーツでの指の使い方や環境の整備にも注意を払うことが必要です。