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足関節捻挫(靭帯損傷)

足関節捻挫は、足首の靭帯が損傷することで発生する怪我の一種です。特にスポーツをしている人や、日常生活でつまづいたり、転倒したりすることで起こりやすい怪我です。足首を内側または外側に無理にひねることで、関節を安定させる靭帯が過度に引き伸ばされ、損傷または断裂することが捻挫の主な原因です。

足関節捻挫の種類

足関節捻挫は、損傷する靭帯や捻挫の程度によっていくつかの種類に分類されます。

  1. 外側靭帯損傷(外反捻挫):足首が内側に過剰に曲がることで、足首の外側にある靭帯(前距腓靭帯、踵腓靭帯、後距腓靭帯)が損傷する。最も一般的な捻挫のタイプです。

  2. 内側靭帯損傷(内反捻挫):足首が外側に曲がることで、内側の三角靭帯が損傷する。外側靭帯損傷よりも少ないですが、発生することがあります。

  3. 高位足関節捻挫:脛骨と腓骨を結ぶ靭帯(前・後脛腓靭帯)が損傷する捻挫です。通常よりも治りにくく、治療に時間がかかることがあります。

足関節捻挫の原因

足関節捻挫の主な原因は、以下のような状況で発生します。

  • 不安定な地面での歩行:凸凹のある場所で歩いたり走ったりすることで、足首が突然にねじれてしまうことがあります。
  • スポーツ中の急な動作:サッカー、バスケットボール、ランニングなどのスポーツ中に、急な方向転換やジャンプ、着地の際に足首が捻じれることが原因となります。
  • 不適切な靴:サポートが十分でない靴を履くと、足首の安定性が低下し、捻挫のリスクが増します。
  • つまづきや転倒:階段でのつまづきや不意に足を引っ掛けることで、足首をひねることがあります。

足関節捻挫の症状

捻挫の程度によって症状は異なりますが、一般的な症状は以下の通りです。

  1. 痛み:足首を捻った直後に鋭い痛みが生じます。軽度の場合は歩けることがありますが、重度の場合は歩行が困難になります。

  2. 腫れ:捻挫した足首は、損傷した靭帯の周囲が腫れ上がることが多いです。これは、靭帯が損傷した際に血管や組織がダメージを受けるためです。

  3. 内出血:損傷が重い場合、足首や周囲の皮膚が青紫色に変色することがあります。

  4. 可動域の制限:足首を動かすのが困難になり、痛みや腫れによって動かしづらくなります。

  5. 不安定感:靭帯の損傷により、足首が不安定になり、ぐらつく感じがすることがあります。

捻挫の重症度の分類

足関節捻挫は、損傷の程度に応じて3段階に分類されます。

  • 軽度(グレード1):靭帯の軽度の伸びや損傷で、足首は比較的安定しています。痛みや腫れが軽く、通常は歩行が可能です。

  • 中度(グレード2):靭帯の部分断裂がある状態です。足首に痛みや腫れがあり、可動域が制限されることがあります。歩行は困難で、サポートが必要になることもあります。

  • 重度(グレード3):靭帯が完全に断裂した状態で、足首が非常に不安定です。痛みや腫れが非常に強く、歩行がほぼ不可能です。

足関節捻挫の診断

足関節捻挫の診断は、医師による問診や視診、身体検査によって行われます。診断には次の手段が用いられます。

  1. 視診と触診:足首の腫れや内出血、圧痛の場所を確認し、靭帯の損傷具合を評価します。

  2. X線検査:骨折を確認するために行われます。捻挫の場合、靭帯だけでなく骨に異常があるかどうかを確認する必要があります。

  3. MRI(磁気共鳴画像):靭帯や軟骨の損傷を詳しく確認するために用いられます。重度の捻挫や他の関節損傷が疑われる場合に使用されます。

足関節捻挫の治療

足関節捻挫の治療は、損傷の程度に応じて異なりますが、通常は以下の方法で行われます。

1. RICE療法
  • Rest(安静):足首を安静にし、損傷した靭帯が回復する時間を確保します。歩行を避け、必要に応じて松葉杖を使用します。
  • Ice(冷却):捻挫後すぐに氷を患部に当てて冷やし、腫れと痛みを軽減します。1回20分程度のアイシングを、1日数回行います。
  • Compression(圧迫):包帯やテーピングで足首を圧迫し、腫れを抑え、靭帯をサポートします。
  • Elevation(挙上):足を心臓より高い位置に挙げることで、腫れや内出血を抑えます。
2. 装具やサポートの使用

足関節を保護するために、サポーターや足首用のブレースを使用することがあります。これにより、安定性を保ち、さらなる損傷を防ぎます。

3. 薬物療法

非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を使用して、痛みや炎症を軽減します。場合によっては、医師が鎮痛薬や抗炎症薬を処方することがあります。

4. リハビリテーション

回復が進むにつれて、関節の可動域を回復し、筋力を取り戻すためのリハビリが行われます。理学療法士の指導のもとで、足首の柔軟性や筋力を徐々に改善させ、再発を防ぐトレーニングを行います。

5. 手術(まれに必要)

重度の靭帯断裂や不安定性が残る場合、手術が必要になることがあります。手術では、損傷した靭帯の修復や再建が行われます。手術後もリハビリが必要です。

リハビリと運動復帰

捻挫からの回復には時間がかかるため、無理をして運動を再開すると再発のリスクが高まります。リハビリは段階的に進め、以下の点に注意しながら行います。

  • 可動域の回復:足首の動きを徐々に取り戻すため、ストレッチや関節の動かし方を学びます。

  • 筋力強化:特に足首周囲の筋肉を強化し、関節への負担を減らします。

  • バランス訓練:捻挫後の足首はバランスを取りづらくなるため、バランスを取り戻すための訓練が重要です。

予後と再発予防

適切な治療とリハビリを行えば、ほとんどの足関節捻挫は数週間から数ヶ月で回復します。しかし、再発を防ぐためには、以下の点に注意が必要です。

  • 足首のサポート:運動時には足首をサポートするテーピングやサポーターを使用し、再び捻挫を起こさないようにします。

  • 適切な靴の選択:足首に合ったサポートのある靴を選び、地面の衝撃を軽減します。

  • 柔軟性と筋力の維持:足首の柔軟性や筋力を維持するため、日常的にストレッチやトレーニングを行います。

まとめ

足関節捻挫は、スポーツや日常生活でよく見られる怪我ですが、適切な治療とリハビリを行えば、ほとんどの場合、完全に回復することができます。再発を防ぐためには、足首をしっかりサポートし、筋力や柔軟性を保つことが重要です。

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