手関節骨折
手関節の骨折(手首の骨折)は、手首を構成する骨が折れたり、ひびが入ったりする状態です。手首の骨折は、転倒して手をついた際に発生することが最も一般的で、スポーツや交通事故などによる強い衝撃が原因となることもあります。手首の骨折は、高齢者や骨粗鬆症を患っている人に多く見られますが、若い人でも外傷によって発生することがあります。
手関節の骨構造
手関節は、8つの小さな手根骨と、それを支える橈骨(とうこつ)および尺骨(しゃっこつ)から構成されています。主に骨折しやすい部位は以下の通りです。
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橈骨遠位端骨折(コーレス骨折)
- 手首の骨折の中で最も一般的で、手のひらを突いて転んだときに起こりやすい。橈骨の遠位部が手の甲側にずれるタイプの骨折です。
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尺骨茎状突起骨折
- 橈骨遠位端骨折に伴って発生することが多い、尺骨の先端部の骨折です。
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舟状骨骨折
- 手根骨の一つである舟状骨が折れる骨折です。手首の痛みが長引き、治りにくいことが特徴です。
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月状骨脱臼・骨折
- 手根骨の月状骨が折れたり、脱臼することがあります。手首の腫れや痛みを伴い、手の動きに大きな制限が出ます。
手関節の骨折の原因
手関節の骨折は、以下のような原因で発生します。
- 転倒:手をついて転んだ際に、手首に強い衝撃が加わることで骨折します。
- スポーツ:サッカー、スキー、スノーボード、スケートボードなど、手をつく動作が多いスポーツで発生しやすいです。
- 交通事故:強い衝撃や圧力が手首に加わることで骨折します。
- 骨粗鬆症:骨密度が低下している高齢者は、比較的軽い衝撃でも骨折しやすくなります。
症状
手関節の骨折の症状には以下のようなものがあります。
- 手首の強い痛み、特に動かしたときや触ったときに痛む。
- 腫れやあざ。
- 手首の変形(特に橈骨遠位端骨折では手首が変形することが多い)。
- 動かすと音がする(骨折部のずれにより)。
- 手や指のしびれや感覚異常(神経損傷がある場合)。
診断
手関節の骨折は、以下の方法で診断されます。
- 問診と視診:症状の確認と、外見的な変形や腫れの観察。
- 触診:痛みの場所を確認します。
- 画像診断:
- X線:骨折の位置や形状を確認するための基本的な検査。
- CTスキャン:複雑な骨折や関節内骨折の詳細な評価に使用。
- MRI:骨折に伴う軟部組織の損傷(靭帯や腱の損傷など)を確認するために用いられます。
治療法
手関節の骨折の治療は、骨折の種類や重症度に応じて異なります。
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保存療法
- 骨折が軽度で、骨片がずれていない場合やずれが小さい場合に適用されます。
- ギプスやスプリント:手首を固定して骨が自然に治るのを待ちます。通常、数週間の固定が必要です。
- 鎮痛薬の使用:痛みの管理のために使用されます。
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整復と固定
- 骨片がずれている場合は、手動で骨を元の位置に整復し、その後ギプスやスプリントで固定します。
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手術療法
- 骨折が複雑である場合や、整復だけでは安定しない場合には手術が必要です。
- 内固定:プレートやスクリュー、ピンなどを用いて骨片を固定します。
- 外固定:外固定器を使って手首を外部から固定することもあります。
リハビリと回復
- 初期の安静:固定期間中は安静を保ち、骨が安定するのを待ちます。
- リハビリテーション:固定が解除された後は、可動域を回復し、筋力を戻すためのリハビリが重要です。
- エクササイズ:手首の屈曲・伸展、回旋運動、握力強化などのエクササイズを行います。
- 予防とケア:骨粗鬆症がある場合は、カルシウムやビタミンDの摂取、運動療法を通じて骨密度の改善を図ります。
まとめ
手関節の骨折は、日常生活やスポーツでのアクシデントによって誰にでも起こり得る怪我です。早期の診断と適切な治療が重要であり、リハビリテーションを通じて完全な回復を目指します。手首の痛みや腫れを感じた場合は、迅速に医療機関を受診することをお勧めします。