テニスにおける怪我・障害
テニスは全身を使うスポーツで、特に腕や肩、足に負担がかかります。激しい動きや繰り返しの動作が多いため、テニス選手はさまざまな怪我に見舞われることが少なくありません。以下は、テニスに多い怪我の種類とその原因、症状、治療法、予防策について詳しく説明します。
1. テニス肘（外側上顆炎）
原因
テニス肘は、手首を伸ばす筋肉の腱が肘の外側にある上腕骨外側上顆（がいそくじょうか）に付着する部分に炎症が生じることです。バックハンドのストロークや重いラケットの使用、過度な練習によって発生します。
症状
肘の外側に鋭い痛みや圧痛、特に手首を反らしたり、物を持ち上げたりするときに痛みが悪化します。
治療法
- RICE療法（安静、冷却、圧迫、挙上）
- 理学療法：ストレッチやエクササイズを通じて筋肉と腱を強化。
- サポーターの使用：肘のサポートを提供し、痛みを軽減。
- 薬物療法：NSAIDs（非ステロイド性抗炎症薬）を使用。
- ステロイド注射：慢性的な症状の場合。
予防策
- 正しいテニスフォームを習得し、バックハンドの動作を改善。
- 適切なサイズと重さのラケットを使用。
- 定期的なストレッチと筋力トレーニング。
2. 肩の腱板損傷
原因
肩の腱板（けんばん）は、肩を安定させるための筋肉と腱の集まりです。サーブやスマッシュなどの反復的な動作で肩に過度のストレスがかかり、損傷することがあります。
症状
肩の痛み、特に夜間や腕を上げたとき。肩の可動域が制限されることがあります。
治療法
- 安静とアイシング。
- 理学療法で筋力と柔軟性の向上。
- 抗炎症薬の服用。
- 重度の場合、手術が必要になることも。
予防策
- 肩のストレッチと筋力トレーニング。
- 正しいフォームを維持し、無理な動作を避ける。
3. 足首の捻挫
原因
テニスは素早い方向転換や急停止が多いスポーツです。これらの動作中に足首が内反または外反してしまい、捻挫が発生することがあります。
症状
足首の痛み、腫れ、あざ、動かしにくさ。
治療法
- RICE療法。
- 足首サポーターやテーピングでのサポート。
- リハビリで足首の筋力とバランスを回復。
予防策
- 十分なウォームアップとストレッチ。
- 安定した靴を着用し、足首をしっかりサポート。
- プライオメトリクス（ジャンプトレーニング）で足首の安定性を向上。
4. ハムストリングスの肉離れ
原因
突然のスプリントや急停止、方向転換の際に、太ももの裏側の筋肉（ハムストリングス）に過度な負担がかかり、筋肉繊維が損傷することがあります。
症状
太ももの裏の鋭い痛みや、腫れ、痣、歩行困難。
治療法
- RICE療法。
- 理学療法で筋力と柔軟性を回復。
- ストレッチと軽い運動から徐々に負荷を増やす。
予防策
- 十分なウォームアップとストレッチ。
- 定期的な筋力トレーニングと柔軟性の向上。
5. 膝蓋腱炎（ジャンパー膝）
原因
サーブやスマッシュの着地時に膝にかかる衝撃が繰り返されることで、膝蓋骨と脛骨の間の膝蓋腱に炎症が生じます。
症状
膝の前部、特に膝蓋骨の下に痛みや圧痛。階段の上り下りや跳躍動作で悪化します。
治療法
- 安静、アイシング、圧迫、挙上。
- 理学療法とエクササイズ。
- サポーターの使用。
- 重度の場合、手術が必要になることも。
予防策
- 下半身の筋力強化と柔軟性の向上。
- 着地時の衝撃を和らげるため、フォームを見直す。
6. 手首の腱鞘炎
原因
フォアハンドやバックハンドのストロークで手首に繰り返し負荷がかかることで、手首の腱鞘（けんしょう）に炎症が起こります。
症状:
手首の痛み、腫れ、動かすと痛むことがあります。
治療法
- 安静とアイシング。
- NSAIDs（非ステロイド性抗炎症薬）の使用。
- サポーターやテーピングでの固定。
予防策
- 正しいグリップと打ち方を習得。
- 適切なラケット選び。
- 手首のストレッチと筋力トレーニング。
7. シンスプリント（脛骨過労性骨膜炎）
原因
テニスコートでの繰り返しのジャンプやランニングが原因で、脛骨（すねの骨）にストレスが蓄積し、炎症が起こることがあります。
症状
脛骨の内側に鈍い痛みがあり、運動中や運動後に悪化することがあります。
治療法
- RICE療法。
- 足底挿板（インソール）や靴の見直し。
- 痛みが軽減するまでの安静。
予防策
- 足の筋力強化とストレッチ。
- 適切な靴の選択とインソールの使用。
- 無理なランニングを避ける。
まとめ
テニスで多い怪我を予防するためには、ウォームアップとクールダウンの徹底、正しいフォームの習得、適切な器具の使用、そして適切なリハビリと筋力トレーニングが重要です。怪我をした場合は、早期の診断と治療が回復を早め、再発を防ぐために不可欠です。
